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岩瀬労に言わせろう!

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ひきだしの中

  今<東京タワー>がちょっとしたブームになっている。江國香織さんの小説『東京タワー』が昨年映画化され、そのブームの先駆けになった。また一方、昭和30年代の東京が舞台の映画『ALWAYS 三丁目の夕日』が日本アカデミー賞最優秀作品賞・監督賞など総ナメにした。こうした作品のヒットが、ブームを盛り上げ、東京タワーの来塔者数も例年より一割ほど増えたらしい。

  昭和30年代後半、神戸に住んでいた<いわろう>の中学時代の卒業旅行は東京方面だった。もう40年以上も前のことなので、不確かなのだが国鉄(今のJR)の・・・そう確か<希望号>って言ったと思う修学旅行専用列車で何時間も掛けて、東海道本線を上京したのだ。今、静かに目を閉じて、その旅行を思い起こせば、皇居の二重橋、上野の西郷さんの銅像、それにこの東京タワーがセピア色の画像と共に記憶に残っているのだ。
 
  当然ながら当時から展望台までのエレベーターは、設置されていたのだろうが、中学生の<いわろう>達は、外部に設けられた階段を一段一段展望台まで歩いて昇らされたのだ。当時から高所恐怖症の持病を持つ<いわろう>にとっては、かなりの決意が必要だった。お尻がむず痒くなり眼下に広がる東京の街並みが、徐々に小さく変貌してゆく様を眺めながら、赤く塗られた手すりを握りしめては何度も立ち止まっていたように思う。自分たちが今まで乗ってきた観光バスが、眼下でそれこそミニチュアーカーのような小ささで、大都会の東京の街が箱庭のような風景は、40年以上経った今でも鮮明な記憶に残っている。
 
  今、改めてこうして思えば、エレベーターでスゥーと展望台まで直行していたら、こんな思い出も語られなかっただろうと、あのとき階段で昇らせてくれてありがとうって言いたい。おそらく当時は、ブツブツ文句を言っていたように思うのだが・・・。記憶に残りうる体験は、時間の経過と共により醸成され、思い出の引き出しでいつまでも財産になっているものだ。
 
2011年の地上デジタル放送完全移行に向けて計画されている第二東京タワーが、600メートル級のタワーと君臨しても、あのとき眺めた東京タワーは<いわろう>の記憶の引き出しから、いつまでもなくならないだろう。
2006/5/11
by iwaserou | 2006-05-11 23:50 | Trackback | Comments(0)
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