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岩瀬労に言わせろう!

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2006年 05月 18日 ( 1 )

一冊の古本

  今年は、生誕250周年のモーツァルトが世界的なブームらしいのだが、石川啄木、萩原朔太郎らの生誕から120年、坂口安吾は100年にもあたるらしい。著名な文人らの誕生の節目となる今年、それぞれの生まれ故郷で、故人をしのぶ記念イベントが計画されている。「郷土の著名人にあやかり、町おこしを」との期待が高まっている。1886年生まれの朔太郎の出身地、前橋市では今月14日、生家跡近くを通る市道の通称名を「裁判所前通り」から「朔太郎通り」に改め、表示板を書き換えた・・・と読売新聞が報じている。
 
  手元に色あせた<萩原朔太郎>の詩集がある。埃を払いながら、裏表紙を開けてみる。日本詩人全集14(新潮社)昭和41年12月10日発行、価330円と書いてある。四十年前の一冊だ。<いわろう>が18歳の多感な青年期に購入した物だ。当時、詩の全集ブームがあったのだろう。そのうちの一冊だ。何度となく引っ越しを繰り返している間に、揃っていたはずの全集が、一冊減り二冊減りしながらも、辛うじて今、手に出来るというぐらいだから、<朔太郎>に心酔し続けている証拠だ。
 
  当時は、大学に入学し<我が世の春と・・・>遊び惚けていた。いま振り返れば、一番遊んだ時期だろう。何もかも人生の楽しみをまとめて経験した時期でもあった。その結果、二年に進級出来ないことになったのだ。ろくすっぽ学校に行かなかった者は<留年>するしかない。<いわろう>の人生初めての大きな蹉跌を味わうことになったのだ。当たり前のことなのに、当時の<いわろう>は、挫折感に押し殺されそうになっていた。
 
  いろんな分野のいろんな本を数多く読んだのもこの時期だろう。そんなころ<朔太郎>との出会いは、死んでしまおうとまで思い詰めた<いわろう>に生きていなければ、ならないことを教えてくれたように思う。
 
  いま再び<朔太郎>を開いてみた。当時、赤の鉛筆で印を付けた<詩>が何編かある。
<愛憐 >< 見しらぬ犬><寝台を求む>・・・などだ。<いやしくも悔恨しないことを欲するならば、人は何事もしない方が好い。しかしながらまた、何事もしないところの人生も、ひとしくまた悔恨なのだ>には、二重の赤線が施されてあった。
2006/5/18
by iwaserou | 2006-05-18 23:39 | Trackback | Comments(0)