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結婚線

 先日、営業先への移動に利用したクーラーの良くきいたメトロで、ウトウトしていた。
「でしょう!」そんな言葉と笑い声で目が覚めた。それは隣に座った四十前のご婦人の笑い声だった。<いわろう>は得意な狸寝入りをして、友達同士風のお二人の会話を盗み聞きしてしまった。

「お父さんって、お幾つだっけ?」「もう六十三にもなるのよ!」「母が亡くなってまだ四年しか経っていないのに・・・」「仲のいいご夫婦だったのに・・・」「そうなのよ!」
「『オレには結婚線が二本あるんだ!』って言って手のひらを突きだして、父は私に再婚することを許して欲しいって・・・」「お母様が可愛そう!」「でしょう」「それであなた!お父様に何て応えたの?」

 その後の会話は、乗り込んできた乗客に妨害され、詳しくは聞こえなかった。途切れ途切れ聞こえてくる単語から、結局父親の「寂しいんだよ」の言葉に負けて再婚を承諾した様子だった。

<消防にいたずら電話をかけ続けたとして、埼玉県警草加署は28日、草加市青柳8丁目、会社員志村孝容疑者(58)を偽計業務妨害の疑いで逮捕した。「一人暮らしで寂しく、好きな消防にかまってほしかった」と供述しているという。

 調べでは、志村容疑者は昨年5月から今年7月までの間に計388回、草加市消防本部に「自宅が燃えている」「間違って火をつけた」など、うその119番通報や無言電話を繰り返した疑い。通報を受け、消防車や救急車が容疑者宅に出動したこともあったという。(2007/8/28アサヒドットコム)引用>

 あのとき「私にだって結婚線なんか、はっきり二本あるわよ!だけど一度も結婚なんかしてないわよ!」途切れ途切れの単語から彼女はそんな冗談のような本気なような心の内を話しながら友人に笑いかけていた。

 彼女のあの笑いの陰に忍び寄る<寂寥感>とか<疎外感>に<いわろう>はホロッときそうになった。一人っ子らしき彼女の方が、父親より何倍も<寂しい>ことだろう。

 子供より大人の方が本当の寂しさを知り尽くしている。所詮、人間という者は独りでは生きて行けないように出来ている。だからと言って、相手が誰であっても良いことにはならない。その判断を正しくできるのが大人というものだろう。

 あの時、<彼女にもいい人が見つかるといいのに・・・>と思いながら本当にウトウト寝込んでしまったていたようだ。
2007/8/28


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by iwaserou | 2007-08-28 22:55

絵画の価値

 我が家のリビングに一枚の油絵が飾ってある。安普請の我が家には不釣り合いなのだが、亡き父の形見分けの絵画だ。以前、画家である義妹に鑑定してもらったら、美術年鑑を持ち出して説明してくれた。その当時の価格は、号単価から計算すれば六十万円の価値があると言っていた。でも今はその名画を眺めることもない。壁紙のガラの一部に化してしまっているのである。いや、日常に溶け込んでいると言った方が正しいような気がする。

 <岡山市の百貨店・天満屋が販売したエコール・ド・パリの中心的な画家藤田嗣治の水彩画をめぐり、所有する岡山県赤磐市の女性が、有力美術商の組織から鑑定証書を発行してもらえず、贋作(がんさく)と見なさざるを得ないとして、天満屋を相手に960万円の損害賠償を求める訴えを岡山地裁に27日までに起こした。天満屋は「見解の相違はあるが、今でも本物と確信している」と争う構えだ。

 訴えによると、女性の夫(故人)は1986年に天満屋で、水彩画「鳥をもつ少女」(縦26センチ、横19センチ)を960万円で購入した。相続した女性が06年1月、水彩画を売却するため、東京美術倶楽部鑑定委員会(東京都港区)に鑑定依頼した結果、贋作の疑いがあるとして鑑定証書を発行してもらえなかった。同鑑定委員会の鑑定証書がなければ、国内で真作として売買することが難しいなどと訴えている。

 天満屋は取材に対し、販売当時、藤田作品を鑑定するフランスの鑑定人の鑑定証書がついていて、藤田のカタログ・レゾネ(作品目録)にも掲載されているとしている。 (2007/8/27/アサヒドットコム) 引用>

 我が家のリビングに飾られた一枚のあの絵は六十万するから価値があるのではなく、大事にしていた父親の形見分けだから価値もあり、大切にするのだ。間違っても投資目的に<美術工芸品>を扱う風潮はいかがなものかと、常々不快に思っている。例え、無名の画家が描いた絵であろうと、素晴らしいと感動すれば、それは<名画>であり、大いなる価値があるのだ。また思い入れのある工芸品ならどんなガラクタであっても、その人にとって価値があるのだ。

それでいいのではないか?
2007/8/27


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by iwaserou | 2007-08-27 23:11

権利を主張するまえに

 買っても当たらない!けれど買わなければ絶対に当たらない宝くじ。
<いわろう>は、ほぼ毎週のように買い続けている。

 しかし、いつも売り場の窓口で「どうぞ!大きく当たりますように!」と声かけてもらっても、<小さく>も当たったためしがない。なのに毎週「今度こそ、当たるのでは・・・」と思ってつい買ってしまう魔力みたいなものが宝くじには潜んでいそうだ。

 あるいは窓口で、「どうぞ!大きく当たりますように!」

 ご婦人からニッコリとそう言われるからまたノコノコと買いに行くのかも知れない。そう言えば、男性の売り場に出くわしたことがない。もっとも男性から「どうぞ!大きく当たりますように!」と言われても、ますます当たりそうには思えないけど・・・。

 <人権侵害が増えたと感じる人が4割を超えるとともに、「権利のみを主張して他人の迷惑を考えない人が増えた」と答えた人は85%を超え、ともに過去最高となった。

 インターネットによる人権侵害を指摘する人が増加しており、内閣府では「他人への配慮がなくなってきている」として、対策のための啓発活動に力を入れたいとしている。

 調査は、1958年からほぼ5年に1度の割合で行われており、今回で10回目。今年6月21日から7月1日まで全国の20歳以上の男女3000人を対象に面接聴取で実施し、回収率は58・9%。

 人権侵害が「多くなってきた」と答えた人は、2003年の前回調査より5・8ポイント増えて42・0%、「あまり変わらない」は40・3%。調査開始以来初めて、人権侵害が増えたと感じる人が感じない人を上回った。

 「権利のみを主張して他人の迷惑を考えない人が増えた」という質問について、「そう思う」と回答した人は前回より8・5ポイント増えて85・2%、「そうは思わない」と答えた人は3・6ポイント減の12・7%だった。

 人権課題の中で関心のあるものについて、複数回答で尋ねたところ、「障害者」(44・1%)、「高齢者」(40・5%)、「子ども」(35・0%)、「インターネットによる人権侵害」(32・7%)、「北朝鮮当局によって拉致された被害者等」(31・5%)の順となった。(2007年8月25日22時6分 読売新聞)引用>

 都会では<隣に住む人>にも余り関心が向けられなくなったと聞く。例えば都会では、買い物でもひと言も喋らず出来てしまう現実がある。スーパーにしろコンビニにしろ、ひと言も言わず、買いたい商品をレジ前まで運べば、店員が勝手に<マニュアル>通りに独りで喋りまくり、こちらは無言のうちに欲しいものが買えてしまうのである。

 かつて「暑いですね!」と時候の挨拶から始まって、商品の良し悪しから何でも話しながら買いそろえていた<買い物スタイル>は、いつの間にか<無言の儀式>と化してしまっているのだ。

 こうした人と人の関わりの希薄化が、人権侵害に大きく影響しているのではないだろうか?

 ゆくゆくは、あの宝くじも自動販売機になるのだろうか?
そんなことになったら<宝くじ>の売上げは激減するだろう。
 どうせ当たらないのなら「どうぞ!大きく当たりますように!」とニッコリ顔のご婦人と、ひとつやふたつの冗談を交わしながら受け取りたいものだ。
2007/8/26

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by iwaserou | 2007-08-26 23:09

実るほど…

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猛暑日が続く!外回りの仕事にはこたえる。営業途中立ち寄ったコンビニで冷えた清涼飲料水を一気に飲み干し、道路の反対側を見渡せば、一面にグリーンの絨毯。

連綿と先祖より引き継ぐDNAを擽る。

2030年には日本米が食べられなくなるかも…昨日のラジオでそんなことを報じていた。地球温暖化の影響で、近い将来こんな風景は、もう見ることが出来なくなるかも…。

茨城県龍ケ崎市にて

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by iwaserou | 2007-08-21 17:12 | 携帯からの投稿!

人生は一度っきり

 「カミさんったら知らぬ間に何百万円もの自分の宝石を知人にあげちゃうんだから…」なぜあげちゃったんだとカミさんに詰問すると、だって私!もうこの年だし、もうつけないものと平然としている。「カミさん認知症なんだよ!」その社長は少し間をおいてからボソッと言った。

 ある取引先の担当者から切削工具の相談に乗ってあげてくれと頼まれて初めて今日訪れた埼玉県の某鉄工所のその社長が話してくれた。五、六年前から少しずつ症状が出てきたらしい。初めの頃はスーパーに買い物に出かけて行って、買いこんだ物を何処かに置き忘れて帰ってくるぐらいだったのだが、最近では宅配に来た人を何を思ったのか、歓待して家に招き入れようとするんだから・・・。

 「でも失礼ですが、奥様はまだお若いのでしょう?」<いわろう>は社長の歳を聞いていたので、せいぜい奥様は六十歳前後で<いわろう>と同年輩ぐらいに思っていた。「いやねェ~カミさんは年上なんだよ!」言い淀んだ社長の声を素早く受けて<いわろう>は「金のワラジを履いてでも探せって言うじゃないですか・・・」「・・・」でもなぜか会話がそこで少し止まった。

 「七十八なんだよ」<いわろう>は、始め社長の言葉を聞き間違ったと思った。すると社長は、続けて言った。「一回り以上年上なんだ」社長のその言葉に<いわろう>は、絶句してしまった。

 聞くところによれば、社長が二十五歳のときに三十八歳の人妻と大恋愛の末、その人妻つまり今の奥様と結ばれたんだそうだ。「ドラマじゃないですか!」<いわろう>はしみじみと言った。
「当時は凄かったんだから・・・」社長は堰を切ったように話し始めた。

当時保有していた猟銃を持ち出して、説得に訪れてくる人を寄せ付けなかったことや、親兄弟から離縁されたことやらを話してくれた。「オレはろくすっぽ学校行ってないから・・・単純なんだよ・・・この仕事を始めたのもズブの素人からだから・・・兎に角走り出してしまえば・・・誰の意見も聞かないなんだから・・・」

 今は、食事の支度も社長がしているらしい。「子供もいないし、老夫婦二人の生活だから、昼間独りにさせるのが心配なんだ・・・」工場内にある自宅には<火事が心配!>と仕事の合間にちょくちょく覗きに行くらしい。

 話してくれる社長のさばさばした表情に反して、<いわろう>はみるみると曇る自分の表情を隠すのに苦労をした。そして社長の話を聞きながら<責任>という二文字を頭の中で転がせていた。そして<いわろう>は帰りの道すがら、別れ際に消え入りそうな声で言ったあの社長の言葉を何度も繰り返していた。「若気の至り」「若気の至り」「若気の至りなんだよ」・・

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by iwaserou | 2007-08-20 23:38 | 人間観察

ちょっと遅かったの?

 盆休みを利用して、東北の某県某市で一人暮らしをしている義妹のところへカミさんと出かけて行った。義妹であるカミさんの実妹は洋画家である。丁度今、県が県民会館で主催する展示会に出展している義妹の作品が観られるし、都内より少しは暑さも和らぐだろうと思って出かけて行った。

 ところが、日本列島は至る所で気温の過去最高記録を更新する暑さでうだっているようで、期待はずれでガッカリであった。

「この間、モデルさんを頼んだのよ!」「ウン!ウン!それで・・・」<いわろう>は義妹の「面白い話があるのよ・・・」に思わず姿勢を正した。「女性?若いの?・・・」<いわろう>のみるみる変わる目の色をカミさんは、眺めながら呆れた顔である。「仲間で費用を負担しあって三人の女性モデルさんを頼んだのよね・・・それぞれ好みのモデルさんの前に進み思い思いにデッサンが始まったの・・・」「うん!うん!今度そんなとき連絡くれよ!参加させてもらうから・・・」<いわろう>のそんな脱線気味の懇願に、また軽蔑したカミさんの顔 。

「ところが、一人のモデルさんのところには誰一人と近寄らないのよ・・・」「なぜ?」<いわろう>は問いかけながら同時に解答を導き出していた。「憮然とした面持ちのそのモデルさんは、衣装を整えそそくさと帰って行ったのよ」「年増だったんだ!」<いわろう>はそう叫んだ。「そうなの!気の毒なことをしたわ・・・スタジオにお願いするときに年齢制限を言わなかったからなのよ・・・」

「幾つぐらいの人だったの」初めてカミさんが会話に加わってきた。「四十路も中程っていうところ・・・かな?」<いわろう>はいろんなことを想像しながら黙って聞いていたら「そんな歳のモデルさんっているの?」カミさんが言った。「そりゃ居るわよ!」「そんなの鑑賞に耐えないでしょう!」透かさずカミさんが応えた。

「ちょっと待って!そんな見方でモデルさんを観ないものよ!あくまでも造形としての対象としてだから・・・老婆だってモデルとしての価値があるのだから・・・」「そんなこと言ったって、四十路のモデルさんはお呼びでなかったんでしょう」カミさんは向きになって義妹に応戦した。

「他のモデルさんは幾つぐらいだったの?」またまた脱線気味の<いわろう>の質問にカミさんの鋭い目。「二人とも三十前だったわ」「なるほど!」<いわろう>は頷きながら、今度是非呼んで欲しいと言おうとして、その台詞は呑みこんだ。

「ところで、男性のモデルさんが少ないのよ!結構探しているのよ!」義妹の言葉に即反応した。「それって年齢制限は、やっぱりないんだろう?」「あなた!何考えているの?」カミさんの眉間に皺が寄った。「ぼくでどう?」「・・・」カミさんは言葉を一瞬失っていた。

「もちろん年齢制限なんかないのよ!やってみる?」「いくら貰えるの?アルバイト代?」「あなた!オールヌードなのよ!」カミさんが真剣な面持ちで<いわろう>を制した。「初老の男ってタイトルで挑戦してみるか!」義妹はその気になってきたみたいだ。「バイト代は相場の半分でもいいから使って見てください!先生!」<いわろう>も初体験に少し心が躍った。

 しばらく経ってから「でもオールヌードだよなぁ~」って<いわろう>は、ひとりごちた。勢いで言ってみたけれど、よくよく考えると自信がない。造形的には<初老の男>として腹も出て、少しも心配ではないのだが、股間の<持ち物>を義妹にシゲシゲと観察されたら<あらぬ形>にモリモリと変形しそうで・・・。

 夕飯を三人で食べながら「やっぱりモデル止めとくわ!」と<いわろう>が真面目に言ったら、カミさんと義妹が揃って大笑いをした。「あなた!真剣に考えていたの!」とカミさん。「すでに書類選考で落選しています!」と義妹。遅れて<いわろう>も大笑いをした。そんな小さな事件をひとつ呑みこんで東北の暑い夏の宵は更けましたとさ。
2007/8/18

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by iwaserou | 2007-08-18 23:36


<いわろう>は、団塊世代のジジイです!今日も元気だ!ブログが書ける!


by いわろう

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